親の呼び寄せで賃貸を借りるには?審査・名義・保証の準備【元仲介営業が解説】

親の呼び寄せで賃貸を借りる手順のアイキャッチ|名義の決め方、申込み前の準備、候補地の比べ方、転入後の手続きの4段階を整理 上京・賃貸の基礎知識

木村 さやか

元・不動産仲介営業(3年) 📚 著書あり 渋谷区在住

不動産・暮らし系フリーライター。宮城出身、上京歴7年。仲介会社での現場経験をもとに、上京者向けの正直な不動産情報を発信しています。/ 著者プロフィール詳細 ›

上京して東京で暮らすうちに、地方でひとり暮らしをする親のことが気になり、近くに呼び寄せたいと考える人は少なくありません。ただ、高齢の親の賃貸は審査で止まりやすく、物件を探す前に決めておくことと、そろえておくものがあります。この記事が扱うのは、国内の地方から東京近郊へ親を呼び寄せ、近くの賃貸に住んでもらうケースです(外国籍の親を在留資格で呼び寄せる手続きは扱いません)。審査で見られる点と名義、申込み前の準備、2025年10月施行の改正制度、候補地の比べ方、転入後の手続きと見守り、もしものときに決めておくことの順に整理します。

親の呼び寄せで賃貸を借りるコツは、親名義か子名義かを先に決め、家賃を払い続けられる根拠に加えて、保証会社・緊急連絡先・見守り・家財の引き受け手を申込み前にそろえ、大家の不安を先回りして解消することです。

この記事の結論

  • 名義は「親名義」と「子名義で親を入居者として申告する」の2通りです。どちらにするかで、審査で見られる収入と、緊急連絡先・保証人を誰にするかが変わります。
  • 大家が高齢者の入居を制限する最も多い理由は、家賃の支払いではなく「部屋の中でのもしも」への不安です(国土交通省・令和3年度調査)。保証会社・緊急連絡先・見守り・家財の引き受け手を申込み時に示すことが、審査対策の中心になります。
  • 2025年10月から、見守り付きの居住サポート住宅、認定家賃債務保証業者、居住支援法人による残置物処理が始まりました。
  • 住民票を移したら14日以内の手続きがあります。介護保険の認定を受けている親は、転入先での申請を急ぎます。
木村さやか 木村さやか

仲介営業をしていたころ、高齢の親の部屋を探しに来る子世代の相談は、物件選びより先に審査で止まることがよくありました。止まった理由を管理会社経由で聞くと、収入そのものより「何かあったときに誰が対応するのか」が見えないことが多かった印象です。だからこの記事は、物件の探し方より先に、大家さんが安心できる材料の準備から書いていきます。


高齢の親の賃貸は借りられる?審査で見られる点と名義の決め方

高齢の親の賃貸は、年齢だけで一律に断られるわけではありません。審査で見られるのは、家賃を払い続けられる根拠と、部屋の中でのもしものときに誰が対応するかの2点で、どちらの説明が必要になるかは親名義か子名義かによって変わります。

大家が高齢者の入居をためらう理由

大家が高齢者の入居をためらう最も多い理由は、家賃の支払いではなく、部屋の中で亡くなるなどの「もしも」への不安です。日本賃貸住宅管理協会の会員を対象にした令和3年度の国土交通省の調査では、高齢者の入居に拒否感がある賃貸人は約7割でした(障がい者は約7割、外国人は約6割、子育て世帯は約2割)。

同じ調査で、高齢者の入居を制限している76団体に最も該当する理由を聞くと、「居室内での死亡事故等に対する不安」が90.9%を占め、「家賃の支払いに対する不安」は1.3%でした。出典は、厚生労働省のサイトに掲載された国土交通省住宅局の資料「住宅セーフティネット法等の一部を改正する法律」です。保証会社・見守り・家財の引き受け手を申込み前にそろえる準備は、すべてこの不安への答えになります。

親名義と子名義、どちらで借りるか

親の部屋を借りる名義は、親が契約者になる親名義と、子が契約者になり親を入居者として申告する子名義の2通りです。どちらにするかで、審査で見られる収入と、子が負う立場が変わります。

項目親名義(親が契約者・入居者)子名義(子が契約者、親は入居者として申告)
審査で見られる収入親の年金・預貯金子の収入(子自身の住居費と合わせて見られることがある)
子の立場連帯保証人または緊急連絡先契約者として家賃の支払い義務を負う
向いているケース親に年金・貯蓄があり、親自身が契約を理解できる親の収入だけでは審査が難しい、手続きを子がまとめて担いたい
注意点保証会社の審査も親の収入が基準になる入居者が親であることを必ず申告する。物件によっては契約者と入居者が違う契約を受け付けない

どちらの名義を受け付けるか、何を確認書類にするかは、物件・管理会社・保証会社ごとに異なります。

子名義で借りる場合も、入居者が親であることは申込みの段階で必ず伝えてください。「子が住む」と申告して親を住まわせると、契約内容と異なる使い方になります。

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名義の相談で多かったのは、子名義にするかどうかの迷いでした。親御さんが自分の名前で借りたいと望んだケースでは、子が連帯保証人になり、申込み書に子の連絡先と、どのくらいの頻度で通うかを書き添えて進めました。親の気持ちと審査の通りやすさ、両方を見て決めるのがいいと思います。

年金収入だけの親の審査で用意したいもの

年金収入だけの親の審査で用意したいものは、年金額の分かる書類、預貯金の残高が分かるもの、子が家賃を援助する場合はその説明の3つです。いずれも法令で決まった要件ではなく、家賃を払い続けられることを示すための実務上の準備です。

  • 年金額の分かる書類(年金額改定通知書や振込通知書など)
  • 預貯金の残高が分かるもの
  • 子が家賃を援助する場合は、その金額や方法の説明

審査では、家賃と年金収入のバランスが見られます。年金だけで通るかどうかは物件と保証会社の審査によって変わるため、一律には言えません。

子が連帯保証人になる場合に知っておくこと

子が個人で連帯保証人になる場合は、契約書に保証の上限額(極度額)が書かれているかを確認します。個人が賃貸借の連帯保証人になる契約(個人根保証契約)は、極度額を定めなければ効力を生じないと民法第465条の2で定められています。

実際には、保証会社の利用を求められ、そのうえで緊急連絡先の記入も求められるケースが多くあります。保証会社の初回保証料を含む初期費用の内訳は、賃貸の初期費用の項目と相場で確認できます。


申込み前にそろえたい準備:保証・緊急連絡先・見守り・家財

申込み前にそろえたい準備は、家賃債務保証会社、緊急連絡先、入居後の見守り手段、家財の引き受け手の4つです。大家が気にする部屋の中でのもしもに対して、誰がどう対応するかを申込み書の段階で示せると、管理会社も大家に説明しやすくなります。

審査・保証のチェックリスト

申込み前のチェックリストは、名義と収入の説明から、保証、緊急連絡先、見守り、家財、転入後の手続きまでを1枚にまとめたものです。いずれも法令で決まった要件ではなく、審査を進めやすくするための実務上の準備です。

申込み前にそろえたい8項目

  • 名義(親名義/子名義)を決め、入居者が親であることを不動産会社に正直に伝える
  • 親の年金額と預貯金、子が援助する場合はその内容を説明できる
  • 家賃債務保証会社を使う前提で、国土交通省の登録家賃債務保証業者一覧で会社を確認できる(登録125者、令和8年9月30日時点)
  • 緊急連絡先を誰にするか決めている(子、子が難しい場合の代わりの人)
  • 連帯保証人を立てるか、保証会社だけで進めるかを家族で決めている
  • 入居後の見守り手段(市の緊急通報、子からの定期連絡、民間サービス)を説明できる
  • 家財の引き受け手(モデル契約条項の受任者)を誰にするか考えている(もしものときの備え)
  • 住民票を移す日と、移したあとの手続き(介護保険など)を把握している(転入後の手続き)

重要事項説明や内見など、一般的な契約前の確認は契約前に確認したいチェックリストにまとめています。

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申込み書に「入居後は娘が週1回通います」「市の緊急通報を申し込む予定です」と一言添えるだけで、管理会社が大家さんに話を通しやすくなる場面をよく見ました。反対に、緊急連絡先が空欄のまま出した申込みは、書類が戻ってきやすかったです。見守りの予定は、決まっている範囲で書いておくと話が進みやすくなります。

「登録」の保証会社と「認定」の保証会社は別物

家賃債務保証会社の「登録」と「認定」は、根拠となるルールも、保証を引き受ける基準も違う別の制度です。登録は2017年からの任意の制度で、登録業者だからといって高齢者の申込みを断らないわけではありません。

登録と認定の違い

  • 登録:国土交通省の告示に基づく任意の登録制度で、2017年10月25日に始まりました。登録しなくても営業でき、目的は業務の適正化と情報公開です(家賃債務保証業者登録制度)。
  • 認定:2025年10月1日施行の改正住宅セーフティネット法に基づき、国土交通大臣が認定します。居住サポート住宅を借りようとする要配慮者からの保証の申込みを正当な理由なく拒まないこと、保証契約の条件として親族などの連絡先の提供を求めないことが基準です(住宅セーフティネット法第72条、認定家賃債務保証業者制度)。
  • 認定業者の数:12者(令和8年7月31日時点)。社名は国土交通省の認定家賃債務保証業者一覧で確認できます。

2025年10月施行の改正住宅セーフティネット法でできること

2025年10月施行の改正住宅セーフティネット法は、高齢者など住まいを借りにくい人のために、見守り付きの居住サポート住宅、保証を原則引き受ける認定家賃債務保証業者、家財の後始末まで担える居住支援法人を整えた制度です。窓口と使う順番を知っておくと迷いません。

ただし、保証を原則引き受けるのは居住サポート住宅を借りる場合の基準です。一般の賃貸物件すべてで保証を断られなくなるわけではありません。

高齢者は法律上の「住宅確保要配慮者」

高齢者は、住宅セーフティネット法で、住まいの確保に特に配慮が必要な「住宅確保要配慮者」に含まれます。法律の正式名称は「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」(平成19年法律第112号)で、第2条第1項第3号に高齢者が挙げられています。

2017年10月25日施行の改正で、要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度(セーフティネット住宅)と、居住支援法人の制度が始まりました(国土交通省の報道発表(2017年))。制度の全体像は、国土交通省の住宅セーフティネット制度のページにまとまっています。

セーフティネット住宅は公営住宅ではありません。民間の賃貸住宅を「要配慮者の入居を拒まない住宅」として登録するもので、セーフティネット住宅情報提供システムで探せます。

2025年10月の改正で始まった3つの仕組み

2025年10月の改正で始まった仕組みは、居住サポート住宅、認定家賃債務保証業者、居住支援法人の残置物処理等業務の3つです。改正法は2024年6月5日に公布された令和6年法律第43号で、2025年10月1日に施行されました(国土交通省の報道発表(2025年4月22日))。

仕組み何をしてくれるか誰が認定・指定するか
居住サポート住宅(法令上の名称は「居住安定援助賃貸住宅」)居住支援法人などと大家が連携し、ICTなどによる安否確認、訪問などによる見守り、必要に応じた福祉サービスへのつなぎを行う賃貸住宅市・区の区域では市長・区長、福祉事務所を置く町村では町村長、それ以外の区域では都道府県知事が計画を認定(法第40条)
認定家賃債務保証業者居住サポート住宅に入居する要配慮者の保証を原則引き受け、緊急連絡先を親族などの個人に限らない(法人でもよい)国土交通大臣が認定
居住支援法人の残置物処理等業務賃借人の委託を受けて、死亡時の賃貸借契約の解除と、部屋に残った家財の保管・処分を行う(法第62条第5号)居住支援法人は都道府県知事が指定。この業務には業務規程について都道府県知事の認可が必要(法第64条)

法律上の「市」には特別区が含まれるため、東京23区では区長が居住サポート住宅の計画を認定します。物件は居住サポート住宅情報提供システムで探せます。

あわせて、終身建物賃貸借(60歳以上の人が対象で、借主の死亡時に終了する賃貸借)の認可手続きも簡素化されました。改正の内容は、国土交通省の改正法の概要資料(4枚)と改正法の概要資料(1枚)で確認できます。

制度を使う手順

改正制度を使う手順は、候補地の窓口の確認、居住支援法人探し、物件探し、保証会社選び、家財の受任者決めの5段階です。市内に認定物件があるかどうかも窓口で確認できるため、まず住む予定の市区の窓口から当たります。

  1. 候補地の市区の住宅相談窓口を確認する。所沢市は住宅政策課、三郷市は都市デザイン課 住宅政策係が窓口で、三郷市のページでは県の協議会「埼玉県住まい安心支援ネットワーク」も案内されています。都内なら、東京都の都内の居住支援協議会の一覧で、住む区市の協議会を確認します。
  2. 居住支援法人を探す。埼玉県は県の居住支援法人の指定一覧、東京都は東京都の居住支援法人一覧で探せます。見守りや残置物処理に対応しているかを確認します。
  3. セーフティネット住宅情報提供システムと居住サポート住宅情報提供システムで物件を探す。市内に認定物件があるかは、市区の窓口でも確認します。
  4. 保証会社は、居住サポート住宅なら認定業者、一般の物件なら登録業者の一覧で確認して選ぶ。
  5. 入居時に、残置物の受任者(子か、居住支援法人など)をモデル契約条項で決める(もしものときの備え)。

なお、今回の改正で、地方公共団体は居住支援協議会を置くよう努めることになりました(法第81条)。


候補地の比べ方:近居の考え方と、都内・所沢・三郷の例

呼び寄せの候補地を比べるときの軸は、子の家からの移動時間、親の通院や買い物のしやすさ、住む市の見守り制度と相談窓口の3点です。所沢市と三郷市は使う路線も市の制度も違うため、同じ表に並べると、家賃以外の違いが見えやすくなります。

同居・近居・施設のどれにするか

呼び寄せの住まいの形は、子の家に一緒に住む同居、近くの別の部屋に住む近居、介護を受けられる施設の3つです。この記事が主に扱うのは、互いの生活を分けたまま、行き来できる距離に住む近居です。

  • 同居:子の部屋の広さ、生活リズムの違い、家族関係への影響を考える必要があります。慣れない土地で地域とのつながりが減ることは、どの形でも起こりうることです。
  • 近居:互いの生活を分けたまま、行き来できる距離に住む形です。この記事の主な対象です。
  • 施設(サービス付き高齢者向け住宅・老人ホーム):介護度が上がった段階の選択肢です。施設に移る場合は、介護保険の扱いが賃貸と違います(転入後の手続きで説明します)。

近居なら「UR近居割」も候補に

UR近居割は、親世帯と子世帯が近くに住むときに、新たに入居するUR賃貸住宅の募集家賃が5年間(最大)5%減額される制度です。同時に契約した場合は両世帯とも減額され、同居は対象外です。

  • 近居の要件:同じ団地、半径2km以内の別のUR団地、「近居割WIDE」エリア内でのURとUR以外(民間賃貸・持ち家など)の近居のいずれか
  • 対象となる親族:直系血族、兄弟姉妹、または現に扶養義務を負っている3親等以内の親族
  • 世帯の要件:どちらかが満60歳以上の人を含む高齢者世帯などに当たること
  • 毎年度の審査がある

条件の詳細は、UR都市機構の近居割のページで確認できます。

比べるときの3つの軸

候補地を比べる軸は、移動時間、親の生活圏、住む市の制度と窓口の3つです。家賃だけで比べると、子が通い続けられるかどうかや、転入後に使える支援の違いが見えにくくなります。

  1. 子の家(または勤務先)からの移動時間と乗り換えの回数
  2. 親の生活圏(駅・スーパー・かかりつけにできる医療機関・坂道)
  3. 住む市の見守り制度・地域包括支援センター・住まいの相談窓口

23区内で探す場合の家賃の目安は、都内エリア別の家賃相場で確認できます。

所沢市と三郷市の比較表

所沢市と三郷市は、どちらも都心へ通いやすい埼玉県の市ですが、使う路線、緊急通報システムの要件と費用、住まいの相談窓口が違います。2つの市の公式情報を同じ項目で並べました。

項目所沢市三郷市
主な路線西武池袋線・西武新宿線・JR武蔵野線ほか(市内11駅)つくばエクスプレス(三郷中央)、JR武蔵野線(三郷・新三郷)
都心への目安所沢→池袋 約19〜22分、所沢→西武新宿 約29〜34分(列車の種別で異なる)三郷中央→北千住 約10分、三郷中央→秋葉原 最速約20分
緊急通報システム市内在住・65歳以上の一人暮らしで、慢性疾患などで急な悪化が予測される人など。緊急時に連絡できる親族や身元保証人などが必要。月額は単身世帯1,500円(市民税額によって無料になる場合あり)。地域包括支援センターに相談65歳以上のひとり暮らし高齢者などで、緊急時の連絡が難しい人。月額200円(市民税非課税世帯は免除)。地域包括支援センター経由で申し込む
その他の見守り高齢者配食サービス、高齢者みまもり相談員の訪問、救急医療情報キットなどみまもりカード、高齢者等SOSネットワーク
地域包括支援センター市内14か所市内6か所
住まいの相談窓口住宅政策課(居住サポート住宅の案内ページあり)都市デザイン課 住宅政策係(セーフティネット住宅、あんしん賃貸住まいサポート店、埼玉県住まい安心支援ネットワークを案内)

所要時間は、乗車する列車の種別や時間帯によって変わります。制度の対象要件・費用は、各市公式ページの2026年10月10日時点の情報です。

所沢市の出典:所沢市の公共交通機関、西武鉄道の所沢の暮らし情報(一般電車で池袋まで約22分、西武新宿まで約34分)、埼玉県「住むなら埼玉」所沢市(池袋から約19分、西武新宿から約29分)、緊急通報システムの貸与、見守り等の支援、所沢市の地域包括支援センター、居住サポート住宅について

三郷市の出典:つくばエクスプレス、JR武蔵野線、埼玉県「住むなら埼玉」三郷市、緊急通報システム、三郷市の地域包括支援センター、住宅に関すること

木村さやか 木村さやか

渋谷で暮らす子世代から親の部屋探しの相談を受けたとき、決め手になったのは家賃の差より「乗り換えなしで行けるか」でした。通い続けられるかどうかは、そこで分かれることが多かったです。自分の通勤ルートの沿線で探す人もよくいました。

親御さんが内見に来られない場合は、動画内見でスーパーや病院までの道、坂道の有無を一緒に確認していました。

動画内見で生活動線を確かめるときの見方は、内見で見ておきたいポイントが参考になります。

都内(23区)を選ぶ場合に見ておくこと

都内の23区を選ぶ場合は、家賃が上がりやすいことに加えて、区ごとに居住支援協議会や見守りの事業が違う点を確認します。東京都の都内の居住支援協議会の一覧と居住支援法人のページで、住む予定の区の状況を確認できます。


転入後の手続きと見守り:住民票・介護保険・地域包括支援センター

親が入居したら、住民票の転入届を14日以内に出し、介護保険の認定を受けている場合は転入先の市でも14日以内に申請します。市の緊急通報システムなどの見守りは住民登録が前提になるため、転入後に地域包括支援センターへ相談すると、制度につながりやすくなります。

転入後14日以内にすること

転入後14日以内にすることは、住民票の転入届と、要支援・要介護の認定を受けている場合の介護保険の申請です。医療保険の住所変更とかかりつけ医の準備も、同じ時期にまとめて進めます。

転入後すぐの手続き

  • 住民票の転入届を出す(転入した日から14日以内。住民基本台帳法第22条)
  • 要支援・要介護の認定を受けている場合は、前の市町村で受けた認定を証明する書面(受給資格証明書)を添えて、資格を取得した日から14日以内に転入先で申請する。前の認定内容を引き継げる(介護保険法第36条)。証明書は転出前に前の市町村で受け取っておく
  • 後期高齢者医療・国民健康保険など、医療保険の住所変更も転入の手続きと一緒に市の窓口で確認する
  • かかりつけ医を決め、前の主治医から紹介状と服薬情報(お薬手帳)を受け取っておく

賃貸と施設では介護保険の「保険者」が違う

賃貸の近居に移った親は、転入先の市の介護保険の被保険者になります。元の市町村が保険者のまま残る「住所地特例」は、施設に入って住所を移した場合の仕組みで、一般の賃貸住宅は対象外です。

住所地特例は賃貸には使えません

介護保険施設・有料老人ホーム・軽費老人ホーム・養護老人ホーム、一定のサービス付き高齢者向け住宅に入所して住所を移した場合は、「住所地特例」によって元の市町村が引き続き保険者になります(介護保険法第13条)。一般の賃貸住宅は対象施設に含まれないため、賃貸の近居に移った親は転入先の市の被保険者になり、保険料も転入先の市の基準になります。

地域包括支援センターに早めに顔を出す

地域包括支援センターは、介護保険の認定の相談と、市の緊急通報システムの申込みを受け付ける身近な窓口です。所沢市には14か所、三郷市には6か所あり、両市とも緊急通報システムの申込みはセンターを通します。

転入直後から緊急通報システムを使えるかどうかは、両市の公式ページに記載がありません。住民票を移したら、早めにセンターに相談しておきます。

所沢市の緊急通報システムは、緊急時に市などから連絡できる親族や身元保証人などがいることが前提です。近くに住む子は、その連絡先の候補になります。

家族でできる見守り

家族でできる見守りは、連絡の頻度の決めごと、合鍵の預かり、かかりつけ医と服薬情報の共有、救急医療情報キットの活用の4つです。市の制度に加えて、民間の見守りサービスを組み合わせる方法もあります。

  • 連絡の頻度と曜日を決める
  • 合鍵を預かる
  • かかりつけ医と服薬情報を家族で共有する
  • 救急医療情報キット(所沢市の見守り等の支援に掲載)を活用する

もしものときに備えて、入居前に親子で決めておくこと

もしものときに備えて入居前に決めておくことは、部屋の契約と家財を誰が片づけるかと、見送りを親の地元でするか呼び寄せ先でするかの2点です。国のモデル契約条項で家財の引き受け手を入居時に決めておくと、大家の不安も同時に減らせます。

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仲介営業のころ、単身で暮らしていた高齢の入居者が亡くなったあと、遠方のご家族と連絡がつくまで、部屋の契約も家財もそのままになったケースがありました。大家さんもご家族も、どこから手をつければいいのか困っていました。入居時に「誰が片づけるか」を決めておくことは、親を守るだけでなく、次に高齢の人が部屋を借りやすくなることにもつながります。

残置物の処理等に関するモデル契約条項で「家財の引き受け手」を決める

残置物の処理等に関するモデル契約条項は、賃借人が亡くなったあとの契約の解除と家財の処理を、入居時に受任者へ任せておくための契約のひな形です。国土交通省と法務省が令和3年6月7日に公表し、単身の高齢者(原則60歳以上)が賃借人である場合を想定しています。

ひな形と解説は、法務省「残置物の処理等に関するモデル契約条項」と国土交通省のモデル契約条項のページで確認できます。中身は次の2つの委任契約です。

  • 解除関係事務委任:賃借人の死亡後に、賃貸借契約を解除する代理権を受任者に与える
  • 残置物関係事務委任:死亡後の家財の廃棄や、指定した先への送付を受任者に任せる。換価できるものは換価に努める

受任者は、まず賃借人の推定相続人で、呼び寄せた子が候補になります。推定相続人が難しい場合は、居住支援法人や管理業者などの第三者に頼みます。2025年10月からは、居住支援法人が残置物処理等業務として引き受けられるようになりました。

モデル契約条項は、法令で使用が義務づけられたものではありません。委任契約は書面で足り、公正証書である必要はありません(国土交通省「モデル契約条項について」(別紙)、国土交通省「円滑な残置物処理の推進」)。

使える場面は限られています

  • 想定しているのは、単身で原則60歳以上の人が賃借人になる場合です。
  • 大家は賃借人と利益相反の関係にあるため、受任者にしません。
  • 想定している場面以外で使うと、無効になるおそれがあります。

見送りをどこでするかと、住む市の斎場の条件

親の菩提寺や親族が地元にいる場合は、見送りを地元でするか、呼び寄せ先でするかを一度話しておくと、いざというときに迷いません。呼び寄せ先で行う場合、市の斎場は亡くなった人の住民登録によって、料金の区分や使える施設が変わります。

所沢市斎場は、亡くなった本人の住民登録地で市内・市外の料金区分が決まり、1月1〜3日と友引が休場です(友引でも通夜は可)。市は民間葬儀社の紹介や斡旋をしておらず、利用の条件は所沢市の斎場の案内ページで確認できます。所沢市に親が住む前提なら、所沢市の葬儀費用の相場と市の斎場の料金を一度見ておくと、費用の目安をつかめます。

三郷市斎場は、火葬は市外の人も利用できますが、通夜・告別式・安置室は、故人または葬儀を主宰する人が三郷市に住民登録していることが条件です。休場日は1月1日・2日で、友引の日は火葬ができません(三郷市の斎場利用案内、三郷市斎場の使用料など)。三郷市が候補なら、三郷市で葬儀をする場合の費用の目安で、葬儀の形ごとの費用感をつかんでおけます。

斎場の料金や利用条件は改定されることがあるため、最終的には各市の公式ページで確認してください。


よくある質問

親の呼び寄せの賃貸でよくある質問は、年齢と審査、名義、年金収入、保証人がいない場合、居住サポート住宅の探し方、UR近居割、住民票と介護保険、亡くなったあとの部屋の扱いの8つです。

Q地方の親を呼び寄せる場合、70代・80代でも賃貸は借りられますか?
A

年齢だけで一律に借りられないわけではありません。大家が主に気にするのは部屋の中でのもしもで、令和3年度の国土交通省の調査では、高齢者の入居を制限する理由として最も多かったのが「居室内での死亡事故等に対する不安」(90.9%)でした。保証会社・緊急連絡先・見守り・家財の引き受け手を申込み前にそろえると、この不安に答えられます。高齢者は住宅セーフティネット法上の住宅確保要配慮者にあたり、セーフティネット住宅や居住サポート住宅も選択肢になります。

Q親の部屋は、親名義と子名義のどちらで借りればいいですか?
A

親に年金や預貯金があり、親自身が契約内容を理解できる場合は親名義、親の収入だけでは審査が難しい場合は、子が契約者になって親を入居者として申告する方法があります。どちらを受け付けるかは物件・管理会社・保証会社によって違います。どちらの名義でも、入居者が親であることは必ず伝えてください。

Q収入が年金だけの親でも審査に通りますか?
A

通るかどうかは物件と保証会社の審査によるため、一律には言えません。年金額の分かる書類(年金額改定通知書や振込通知書など)、預貯金の残高が分かるもの、子が家賃を援助する場合はその内容を説明できるようにしておきます。親の収入だけでは難しい場合は、子名義で借りる方法もあります。

Q保証人や緊急連絡先を頼める人がいない場合はどうすればいいですか?
A

家賃債務保証会社の利用が前提になることが多くあります。2025年10月からの認定家賃債務保証業者は、居住サポート住宅を借りる場合、親族などの連絡先の提供を保証契約の条件にしません。一般の物件にはこの基準が適用されないため、市区の住宅窓口や居住支援法人に相談してください。

Q居住サポート住宅はどこで探せますか?
A

国土交通省の「居住サポート住宅情報提供システム」で探せます。計画を認定するのは市・区の区域では市長・区長などのため、候補地の市区の住宅担当窓口(例:所沢市は住宅政策課)でも状況を確認できます。入居を拒まない登録住宅(セーフティネット住宅)は、セーフティネット住宅情報提供システムで検索できます。

QURの近居割は親の呼び寄せに使えますか?
A

使えます。新たに入居するUR賃貸住宅の家賃が5年間(最大)5%減額されます。同じ団地、半径2km以内の別のUR団地、近居割WIDEエリア内のUR以外の住まいとの近居が対象で、どちらかが満60歳以上の人を含む高齢者世帯などに当たることが要件です。同居は対象外で、毎年度の審査があります。

Q親の住民票はいつ移せばいいですか?介護保険はどうなりますか?
A

転入した日から14日以内に転入届を出します。要支援・要介護の認定を受けている場合は、前の市町村の証明書を添えて、資格を取得した日から14日以内に転入先で申請すると認定を引き継げます。賃貸に移る場合は住所地特例の対象外のため、転入先の市の介護保険の被保険者になります。市の見守り制度は住民登録が前提なので、転入後に地域包括支援センターへ相談してください。

Q親が部屋で亡くなった場合、部屋の片付けや契約はどうなりますか?
A

入居時に国のモデル契約条項(単身・原則60歳以上の賃借人が対象)で受任者を決めておけば、死亡後の契約解除と家財の処理を任せられます。受任者は推定相続人(子)か、難しい場合は居住支援法人・管理業者などで、大家は受任者にしません。2025年10月からは、居住支援法人がこの業務を引き受けられるようになりました。


まとめ

親の呼び寄せの賃貸は、名義を決め、保証・緊急連絡先・見守り・家財の引き受け手を申込み前にそろえ、移動時間と市の制度で候補地を比べ、転入後14日以内の手続きを済ませる順番で進めると、つまずきにくくなります。

親の呼び寄せ 準備の順番

  • 親名義か子名義かを決め、年金・預貯金など払い続けられる根拠を整理する
  • 保証会社・緊急連絡先・見守り・家財の引き受け手を申込み前にそろえる
  • 居住サポート住宅・認定保証業者・居住支援法人の使い方を市区の窓口で確認する
  • 候補地を「移動時間・生活圏・市の見守り制度と相談窓口」で比べる
  • 転入後14日以内に住民票と介護保険の手続きをし、地域包括支援センターに相談する

親の住まいは、子が東京で暮らし続けるための住まい選びの延長線上にあります。親と子の両方が無理なく行き来できる距離と、大家が安心して貸せる準備の両方がそろうと、呼び寄せは長く続けやすくなります。