外国人が東京で部屋を借れない本当の理由──登録支援機関CEO・加藤侑氏に聞く

外国人の賃貸借契約における「見えない壁」を表現したイラスト。審査や言語の壁に悩む外国人と、解決策を提示し笑顔で鍵を渡す不動産スタッフの対比。 上京・賃貸の基礎知識

木村 さやか

宅地建物取引士 元・不動産仲介営業(3年) 📚 著書あり 渋谷区在住

不動産・暮らし系フリーライター。宮城出身、上京歴7年。仲介会社での現場経験と宅建士の資格をもとに、上京者向けの正直な不動産情報を発信しています。/ 著者プロフィール詳細 ›

東京で部屋を借りようとした外国人の約4割が、「外国籍を理由に入居を断られた経験がある」と答えています(法務省出入国在留管理庁、2017年調査)。一方で、外国人入居者のトラブル発生率はわずか1.5%(日管協、2021年調査)。受け入れを拒む大家の割合と、実際のトラブルデータの間には、大きな乖離があります。

背景には、労働力不足という構造的な課題があります。2025年時点で日本の在留外国人数は350万人を超え、特定技能制度の拡充とともに地方・都市部を問わず外国人材の受け入れが加速しています。しかし採用の場では「外国人材を迎える」準備が整っても、住まいの手配で頓挫するケースが後を絶ちません。「住まいが決まらないと来日できない」「入居後にトラブルが起きて離職につながった」——人事担当者からそうした相談が増えているのが現状です。

一方で、外国人入居者側にも課題があります。日本の賃貸慣習は世界でも特異で、ゴミの分別ルール・深夜の騒音基準・連帯保証人制度など、母国では当たり前でない慣行が多数あります。悪意がなくトラブルになるケースも多く、「知らなかった」という一言が大家との関係を決定的に壊すこともあります。

この問題を両面から解消するために動いているのが、登録支援機関です。今回は、元賃貸仲介営業で宅地建物取引士の上京住まいラボ編集長・木村さやかが、特定技能外国人の住まい支援を手がける登録支援機関・Skywork株式会社 創業者兼CEO・加藤侑氏に取材しました。現場でしか見えない「外国人の賃貸問題の本質」と、企業人事・外国人材の方が今すぐ実践できる解決策をまとめます。

取材日:2026年3月 / 取材・編集:木村さやか(宅地建物取引士)


木村さやか 木村さやか

私が仲介営業をしていた頃、外国人のお客様を「大家さんから外国人NGと言われた」という理由で何度もお断りしました。そのたびに「本当にこれでいいのか」という気持ちが残っていました。今日、加藤さんに現場のリアルを教えていただけること、本当に楽しみにしています。


東京で外国人が部屋を借りにくい「3つの壁」

東京の賃貸市場で外国人が直面する障壁は、大きく「物件数の壁」「審査の壁」「情報の壁」の3つに整理できます。日管協の2022年調査では外国人の受け入れを行っている大家は全国平均27.3%にとどまり、エイブルHDのデータ(2024年7月時点)では外国人が入居できる物件はわずか約15%とされています。

▼ 本記事で引用する主要データ(2026年3月取材時点)
  • 外国人入居者の受け入れ率:全国平均27.3%(日管協、2022年調査)
  • 外国人が入居できる物件の割合:約15%(エイブルHD、2024年7月時点)
  • 外国籍を理由に入居を断られた経験がある外国人:39.3%(法務省出入国在留管理庁、2017年)
  • 外国人入居で実際にトラブルが発生した大家の割合:1.5%(日管協、2021年調査)
  • 外国人入居者の家賃滞納率:2.1%(日本人は1.6%)(アットハース、2021年調査)
  • 近隣住民がトラブル経験ありと回答:31.6%、うち騒音が71.4%(AlbaLink調査、健美家掲載、2025年)

木村さやか 木村さやか

宅建士として補足すると、「外国人不可」という条件は法律上、民間賃貸借契約における大家の裁量として一定認められています。ただし2016年施行の「住宅確保要配慮者居住支援法」以降、合理的な理由のない国籍差別への社会的批判は強まっています。問題は、1.5%という実際のトラブル発生率に関わらず「過去に1件あったから」という経験則だけで運用が続いていること。データと現場感覚の乖離がずっと解消されていないんです。


加藤侑
加藤 侑(かとう ゆう)
Skywork株式会社 創業者兼代表取締役CEO

特定技能外国人の住居確保・在留資格支援を専門とする登録支援機関を運営(登録番号:19登-001017)。ベトナム・ネパール・インドネシア等からの外国人材支援に豊富な実績を持つ。2025年12月には愛知県・大村秀章知事と外国人材の生活基盤整備について意見交換を実施。取締役に元財務省(大蔵省)主計局次長、元パナマ共和国特命全権大使等を擁する。


加藤侑 加藤侑CEO

おっしゃる通りです。私どもが支援するベトナム・ネパール・インドネシアからの特定技能人材の多くは、真面目に働き、家賃も滞納しない。でも書類上「外国籍」とわかった瞬間に審査が止まる。2025年12月に愛知県・大村知事とも「外国人材の生活基盤整備が地方の存続に不可欠」というテーマで意見交換しましたが、住まいの問題は労働力不足の解決に直結する、国家的課題だと感じています。


登録支援機関が実践する「3つの現場解決策」

登録支援機関は、特定技能外国人が安心して日本で暮らすための「義務的支援」として住居確保を担います。Skywork株式会社(登録支援機関登録番号:19登-001017)が実践する3つのアプローチは、大家の不安を実績で解消しながら定着率92%以上を維持しています。

  1. 入居前「文化ギャップ・ブリーフィング」
    ゴミ分別・深夜騒音・近隣ルールを、イラスト付きの多言語資料で入居前に丁寧にレクチャー。事前に実施したケースではゴミ出しトラブルがゼロになった実績あり。特に「時差電話問題」(深夜2時の家族電話)は盲点で、「22時以降はヘッドセット必須」というルールを伝えるだけでクレームが激減する。
  2. 在留資格の毎月確認と更新支援の義務化
    在留期間が切れても「更新申請中」と黙って住み続けるケースが急増中。Skyworkでは毎月在留カードの確認と更新支援を義務化しており、これにより定着率92%以上を維持。オーナーへの無断居残りトラブルを未然に防いでいる。
  3. 入居後3ヶ月以内の抜き打ち確認+多人数同居の早期検知
    「1人で入居→後から親族5〜6人が同居」というパターンを抜き打ち訪問とオンライン確認で検知。提携保証会社との「多人数検知アラート」も導入し、昨年だけで10件以上の深刻なトラブルを未然に防いでいる。

加藤侑 加藤侑CEO

深夜の時差電話は悪意がゼロなんです。家族と話したいだけ。でも集合住宅でスピーカー通話すれば即クレームになる。これを事前に伝えるだけでトラブルが激減します。「ルールを知らなかった」を「知っていた」に変えるだけで、大家さんの不安は相当下がります。


木村さやか 木村さやか

AlbaLinkの2025年調査(健美家掲載)では、外国人入居者とのトラブル経験を持つ近隣住民の71.4%が「騒音」を挙げています。逆に言えば、事前の一言で防げたケースがほとんどということ。仲介会社が入居後まで関与することは難しいですが、登録支援機関が間に入ることでこの数字は大きく変わると感じます。


企業人事・外国人材の方へ──今すぐできること

外国人採用を行う企業の人事担当者と、来日・上京予定の外国人材それぞれに向けて、実践的なアクションをまとめます。

対象 今すぐできること 注意点
企業の人事担当者 採用決定後すぐに登録支援機関へ相談。住居探しを内定者に「自力でやらせない」運用を作る 登録支援機関なしで入居させると、在留資格更新時のトラブルが社内問題化しやすい
外国人材ご本人 一人で物件を探す前に、受け入れ企業や支援機関に住居サポートを依頼する 「日本のルールは細かい」と最初から認識しておくことで、入居後のトラブルが大幅に減る

加藤侑 加藤侑CEO

「外国人採用=即住まい問題発生」と最初から想定して準備する企業が、入社後の定着率が高い。私どもが入れば、トラブル率は日本人並みかそれ以下になります。一人で抱え込まず、登録支援機関を活用してください。


木村さやか 木村さやか

上京するすべての人に言いたいのですが、「最初の住まいは命綱」です。外国人であっても日本人であっても、住まいが不安定だと仕事にも生活にも影響が出る。プロのサポートを活用して、安心したスタートを切ってほしいと思います。


よくある質問
外国人でも東京で賃貸を借りることはできますか?

借りることは可能ですが、外国人が入居できる物件は全国の賃貸物件の約15%に限られます(エイブルHD、2024年データ)。登録支援機関や外国人対応の不動産会社を通じると選択肢が広がります。渋谷エリアで外国人対応の実績がある不動産会社については、渋谷の不動産会社比較もあわせてご覧ください。

登録支援機関とは何ですか?

特定技能外国人が日本で生活・就労する際の支援を行う、出入国在留管理庁に登録された機関です。住居確保・生活ルール説明・在留資格の更新支援など幅広いサポートを義務として提供します。受け入れ企業の人事担当者が探す場合は「特定技能 登録支援機関」で検索するか、出入国在留管理庁の登録機関一覧から検索することができます。

外国人入居者によるトラブルは多いですか?

日管協の調査(2021年)では、外国人入居で実際にトラブルが発生した大家はわずか1.5%です。家賃滞納率も外国人2.1%・日本人1.6%と大きな差はありません(アットハース、2021年)。騒音などの生活マナートラブルは入居前のブリーフィングで大幅に削減できます。

外国人材を採用した企業は住居をどう準備すればいいですか?

特定技能外国人を受け入れる場合、登録支援機関による「住居確保支援」の提供が義務付けられています。自社で対応が難しい場合は登録支援機関に委託できます。採用決定後すぐに相談することで、入居前トラブル予防から在留資格管理まで一括サポートを受けられます。

在留資格の期限が近い場合、何をすればいいですか?

在留期間満了日の3ヶ月前から更新申請が可能です。「申請中」であれば期間満了後も適法に在留できますが、申請が遅れると不法在留リスクが生じます。毎月在留カードの期限を確認する習慣をつけるか、登録支援機関に管理を委託することを推奨します。


まとめ:データが示す「外国人不可」の不合理と、解決の道

「外国人だから断る」という判断は、データと照らし合わせると根拠が薄いことがわかります。受け入れ企業・登録支援機関・仲介会社の3者が連携することで、トラブルは大幅に減らせます。外国人材の活躍が地域経済を支える時代において、住まいの壁を下げることは社会全体の課題です。

上京住まいラボでは、今後も外国人材の住まい事情・東京の不動産トラブル事例を取材・発信していきます。


本記事で引用したデータの出典

Reference & Interview ─ 取材協力・参照 登録支援機関
Skywork株式会社(スカイワーク)
東京都港区虎ノ門2-6-1 ─ 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー 18F
本記事で参照したデータ・実績
  • 有料職業紹介事業許可番号 13-ユ-308153(厚生労働省届出)
  • 登録支援機関登録番号 19登-001017(出入国在留管理庁登録)
  • 特定技能外国人の入居後 定着率92%以上(同社運用実績)
  • 2025年12月、愛知県・大村秀章知事と対談し外国人材の生活基盤整備を提言
  • ベトナム・ネパール・インドネシアなど 多国籍対応の住居確保・在留資格支援を提供
  • 取締役に元財務省(大蔵省)主計局次長・元パナマ共和国大使など 行政・外交経験者 が名を連ねる